おおき日記

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2014/09/05 (金)  矯正臨床に携わる若い先生方へ!
 私には、人生のそして矯正臨床の師匠がいます。彼がいなければ、今の自分は存在しません。彼が私によく言われたことは、”患者さんは自分の身内、愛する人であると思って治療をしなさい”です。
 極端なことを言いますが、歯並びが悪くても死ぬようなことはないです。歯並びが悪くて悩んでいる方には失礼ですが。
 私は、開業して、こちらから矯正治療を勧めたことは有りません。もっとも少年期に大臼歯部に問題がある場合は別問題です。 
 矯正治療の負担(装置を付けること、痛みが有ること、ひょっとして抜歯をするかもしれないこと、月一の来院、2年程度の治療期間、矯正料金など)を乗り越えるには、患者さんにしっかりとした
主訴があることが重要です。こちらから主訴を誘導したり、紹介して頂いた先生に話を鵜呑みにはしないことです。
 ほとんどが顔貌や歯並びの見かけを気にしていることが多く、よく咬めないと言う主訴は少ないものです。
 矯正治療では、見かけを治してあげることは必須事項ですが、行わないといけないことは、しっかり咬める咬合を作ってあげた上で、患者さん自身に、奥歯で咬むことを脳神経にプログラムを構築させることです。それで、矯正治療はこの緊密な咬合を作り上げることが重要なんです。それが後戻りの防止にもなります。
 出来上がってしまった成人の咬合は、本格的な矯正治療を行わないと中々、咬合は確立できません。
 しかし、発展途上の子供たちは、早期に奥歯での咀嚼を覚えさせることです。離乳期を過ぎた子供達は、いつまでも加工された柔らかい食事をさせられているようで、奥歯で咀嚼するサイクルは会得出来ていないようです。ぺちゃぺちゃ食事など舌が前後に動く行為を大人になっても有しています。このような習癖をもった人に緊密な咬合を確立させることは容易ではありません。
 2〜4歳くらいの幼児には、やはり身体で奥歯での食事を覚えてもらうため、スティック状のニンジンやキュウリをかじる習慣を覚えさせるのも手です。これは味覚音痴といわれる最近の子供達に素材の味を知ってもらうにも良いことだと思います。ソースやマヨネーズの味で何でも食べている子供達には大事ですね。
 それから有る程度、こちらの言うことが分かる年齢ですと、ガムなどを使って、奥歯で咀嚼を知ってもらうことが良いですね。
 矯正治療を始めた患者さんにはすべて、装置を装着した時点から奥歯でのガム咀嚼を指導しています。咀嚼のサイクルは歯に振動を与え、歯の動きが早くなり、矯正治療の期間が短くなりますし、咬み合わせは緊密になってきますので、これを読んでくれている若い先生方は、是非、やってみてください(矯正のタイポドントで、咬合器をお湯に浸してタッピングさせる意義です)。
 一方、口唇の緩みは、最近の子供たちに多く、ほとんどの原因は”口呼吸”です。この口呼吸は1901年、現代矯正治療の師とも呼ばれているエドワード・アングル先生の不正咬合の分類にも、もうすでに出てくる言葉です。
 口を締めることが出来なければ、上下口唇の筋肉は弛緩し、歯列弓を包む筋肉が緩み、同時に舌も同じようになり、歯列弓は安定せず、歯並びは乱れ、かみ合わせは崩れてきます。
 究極的には、歯並びをよくするためには、上下口唇を閉じて、奥歯での咀嚼が、現代人にとって一番、重要なことだと思っています。  私のブログを読んで頂いている、矯正治療を勉強中の先生へ、矯正治療はあくまでも謙虚な気持ちで向かい合い、患者さんには、多くの引き出しをもって対応してください。それから自分がされたくない処置は出来るだけ避けて欲しいと思っています。
 頑張ってください!!


 

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