不正咬合の中で素人に最も分かりやすいのがこの受け口(反対咬合)です。下の前歯が上の前歯より前に出ている咬み合わせで、分かりやすいだけ、早い時期、つまり永久歯の前歯が出てくる6歳頃に来院されることが多い。その時期は上下前歯と6歳臼歯のみが永久歯であるため、まず、例えば上の前歯だけを裏から押すリンガルアーチという固定式の装置を装着し、一旦、受け口が治ったところで終了します。その後すべての歯が永久歯に交換した後マルチブラケット装置にて上下の歯並びを細かいところまで治療することもあります。
簡単に書きましたが、どのような反対咬合であるかによって、治療の難易度が変わってきます。
例えば上下の前歯だけが何かの原因でひっくり返ってしまった場合、これは早期であると簡単な場合があります。次に上顎は良い位置にあるのに下顎が上顎より前方にある場合です。当然、下顎の中にある前歯は顎と一緒に前に出てきて受け口になってしまいます。アントニオ猪木さんを思い浮かべると容易に想像できますが、もし仮に歯並びだけを直すことが出来たとしても、下アゴの突出感は治せませんので、それが気になる場合は後でも述べますが外科的手術によって治すことになります。
最近、多く目立って来ているのが先ほどの下顎が前にあるのでなく、上顎の劣成長を起こし下顎より後ろに位置する反対咬合です。原因はいろいろありますが、特に鼻閉が原因による口呼吸が考えられます。私は口呼吸を行うために舌が下顎の下の方に位置することから上顎に舌による刺激が行かず、上顎骨の発育を妨げていると考えます。つまり舌が咬み合わせをつくるのに重要な働きを担っているのです。
とりあえず、簡単な見分け方をお教えします。唇を閉じて、横から顔を見て下さい。素人判断で横顔から受け口ではないかな?と思わせるようなら要注意です。前歯のかみ合わせが反対でも、唇を閉じると普通の顔立ちである場合、治療が簡単な場合が多いようです。 |
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